五家宝の正体|各地に名前があるのに熊谷だけ残った理由
五家宝(ごかほう)は、埼玉県を代表する銘菓として古くから親しまれてきました。豊かな風味と伝統の技が詰まったこのお菓子の魅力を、まずはその歴史とともに紐解いてみましょう。

この間バイクで名古屋まで台風と南海トラフから逃げて、JR名古屋駅の高島屋の地下一階にある銘菓百選ラインアップというコーナーへ行ってきたんですよね。
五家宝、見事にありませんでした。笑
ということで五家宝というお菓子について、
「なぜ熊谷だけに残ったのか」「他の地域と何が違うのか」といった疑問を私は持ったので、
今日は五家宝はどうして熊谷の銘菓なのか?という観点からその歴史と生き残った経緯について
いろいろ調べてみました。
五家宝は現在でも名古屋の百貨店に並ぶなど、地域を越えて評価され続けている菓子のひとつです。
一過性の話題や流行によって注目されたというよりも、
長い時間をかけて選ばれ、今もなお受け継がれている存在
と考える方が自然でしょう。
五家宝の魅力は、派手さではなく、時代を超えて残ってきた確かさにあります。
五家宝の歴史 — 熊谷で生まれた郷土の味
五家宝は、江戸時代から熊谷地方で受け継がれてきた 伝統的な和菓子です。
その名は、もともと「五嘉棒(ごかぼう)」と書かれ、
- 五種類の良い材料
- 幸せを呼ぶ縁起の良いお菓子
といった意味合いが込められていたとも言われています。
熊谷周辺では、元々農閑期の保存食として地元の家庭や商家で作られていましたが、やがて 地元の名物菓子として知名度を高めていきました。
その地域性の強さから、熊谷の土産物として根付いた菓子でもあります。
古くから大切にされてきた製法
五家宝が他のお菓子と大きく異なる点は、もち米を使った生地(タネ)を糖蜜でまとめてきな粉をまぶす製法です。
- もち米を蒸してから乾燥させる
- 粉にしたもち米に糖蜜を絡める
- 表面にきな粉をまぶす
という手間のかかる工程は、昔ながらの手作り文化を大切にする熊谷の和菓子職人の精神が息づいています。
このプロセスは機械化が進む現代にも受け継がれ、
素材の風味・食感・香ばしさを最大限に引き出すことが重視されているのです。
どうして熊谷で発展したのか?
熊谷は古くから 穀物の産地として栄えてきた地域です。特に米・大豆の栽培が盛んだったことから、これらの素材を活かした菓子が生まれやすい土壌がありました。
また交通の要衝であることから、旅の途中の休憩や土産物としても人気を博し、
「熊谷銘菓」として広く人々に認知されていくきっかけとなりました。
五家宝が大切にされる理由 — その魅力
五家宝が長く愛されている理由は、次の3点に集約できます:
- 手間をかけた伝統製法
機械化が進む中でも守り続けられる職人の技。 - 素材の風味を引き出す味わい
もち米の香ばしさと、きな粉の豊かな風味。 - 地域文化としての存在感
熊谷を訪れた人にとっての「旅の思い出」としての価値。
五家宝という名前の意味|「五嘉棒」「五家宝」表記の違い
五家宝は、時代や文献によって
「五嘉棒(ごかぼう)」
「五家宝(ごかぼう)」
と異なる表記が使われてきました。
これは表記揺れではありますが、単なる誤記ではありません。
「五嘉棒」と書かれた理由
古い資料や言い伝えでは、「嘉」は
- めでたい
- 良い
- 価値がある
といった意味を持つ漢字です。
つまり「五嘉棒」は、
五つの“良いもの”を集めた縁起の良い棒菓子
という意味合いを持っていたと考えられています。
当時は、
- もち米
- きな粉
- 糖蜜
といった 貴重な食材を組み合わせた菓子は、日常のおやつというよりも
「ちょっとしたご褒美」「人に渡すもの」という位置づけでした。
そのため、縁起の良い字を当てる文化が自然に生まれたのです。
「五家宝」へと変化した背景
一方、「五家宝」という表記は、
- 家(いえ)
- 宝(たから)
という、より生活に近く、親しみやすい漢字が使われています。
これは、
- 家庭で作られていた時代
- 家内工業として広まった時代
を経る中で、
「家々に伝わる宝のようなお菓子」
という意味合いが後から重ねられた結果と考えられます。
江戸〜明治期は、
音(ごかぼう)を優先し、意味は後付けされることも珍しくありませんでした。
そのため、
- 五嘉棒 → 縁起・格式
- 五家宝 → 親しみ・生活文化
というニュアンスの違いが生まれたと見ると、非常に自然です。
なぜ五家宝は絶滅しなかったのか?
きな粉系の菓子は全国に数多く存在しましたが、
「五家宝」という名前と製法が現在まで残ったのは熊谷だけです。
その理由は、偶然ではありません。
理由① 製法が「簡単すぎなかった」
五家宝は、
- もち米を使う
- タネ(芯)を作る
- 糖蜜でまとめる
- きな粉を均一にまぶす
という工程があり、きなこ棒のように簡単には真似できません。
これは一見デメリットですが、
- 大量生産されにくい
- 安価な駄菓子と競合しにくい
という結果につながりました。
結果として、
駄菓子市場に飲み込まれず、別の価値軸で生き残ったのです。
理由② 「熊谷銘菓」という帰属先がはっきりしていた
五家宝は早い段階で
熊谷市の名物
として定着しました。
これにより、
- 「どこのお菓子か分からない存在」にならなかった
- 観光・土産という文脈に乗せやすかった
という強みを持ちます。
一方で、他地域の類似菓子は
「どこに属するのか分からない」状態になり、
次第に名前や製法が曖昧になっていきました。
理由③ 作り手が途切れなかった
五家宝は、
- 大規模メーカーではなく
- 地元の菓子店や家内工業
によって細く長く作られてきました。
これは、
- 流行に左右されにくい
- 採算より「続けること」を重視
する文化があったからこそ可能だった形です。
結果として、
一気に広がらないが、消えもしない
という 伝統菓子として理想的な立ち位置を保ち続けました。
五家宝は「選ばれて残ったお菓子」
五家宝は、
流行ったから残ったのでも、
全国展開したから残ったのでもありません。
- 製法
- 名前
- 地域
- 作り手
これらが噛み合い、
残るべくして残ったお菓子だと言えます。
だからこそ現在では、
- 「きなこ棒に似ている」
ではなく - 「きなこ棒とは違う文化を持つ菓子」
として語られるようになったのです。
五家宝の歴史や名前の成り立ちを知ると、
「では、きなこ棒とは実際に何が違うのか?」
という疑問が浮かぶかもしれません。
原材料や製法の違いだけでなく、
実際に食べ比べて感じた食感や甘さの違いについては、
👉 [五家宝はきなこ棒と何が違う?実食でわかった違いを徹底解説]
で詳しくまとめています。
なぜ五家宝が人気なのか?
五家宝を家に持ち帰ったら、結構みんな美味しい美味しいと言って食べるんですよね。
味や食感もさることながら、私は和菓子特有のヘルシーさが売りじゃないのかなと、勝手に五家宝のことを評価しています。
きなこ棒と似て非なるこのお菓子は、独特の味わいや風味があります。一回食べると印象的な味と食感なので、忘れられない和菓子となっています。
素材へのこだわり
五家宝の美味しさの秘密は、厳選された素材にあります。もち米は特定の地域で育てられたものを使用し、砂糖やきなこも品質にこだわったものを選び抜いています。これにより、深い味わいと風味が生まれます。
手作りの温もり
五家宝は、職人の手作りによって生まれます。一つひとつ丁寧に作られるため、その温もりが伝わります。手間暇を惜しまず作られることが、五家宝の特別な味を生み出す要因の一つです。
機械で作っていないので生産が追い付かないということも多いようですね。
飽きのこない味
五家宝の味は、シンプルでありながら奥深いものがあります。もち米ときなこの絶妙なバランスが、飽きのこない味わいを実現しています。何度食べても新鮮な驚きを感じることができるのが、五家宝の魅力です。
最初好きじゃなかった人でもだんだん食べていくうちに、美味しい!となると思います。近代のスイーツと合わせると、これもまたこれで美味しさが増していくのでアイスやパフェなどと一緒に和えて食べてもらうと、より五家宝のおいしさを体感できると思います。
五家宝の名峰:紅葉屋本店
五家宝の名峰と言えば、熊谷に本店を置く紅葉屋だと思います。
名古屋にも五家宝はあるようなのですが、あんまり浸透はしていない感じがしました。出汁の文化なので味噌煮込みうどんやきしめん、そういったいろいろなエース級の食べ物があるため、五家宝は名古屋では影を潜めている感じもしました。
しかし紅葉屋はそういった他のソウルフードに負けず、今も伝統を守りつつ新しい商品を展開しています。そして今やテレビにも特集されるほど人気のお菓子になっています。
では紅葉屋本店では、一体どういった商品を売っているのでしょうか?
シンプルに五家宝
江戸時代から受け継がれてきた伝統の製法を守り続け、今に伝える熊谷の銘菓です。
良質な大豆やもち米を使用し、原材料選びから製造までを自社工場で一貫して行うことにこだわっています。無添加・無着色で栄養価が高い自然食品として、素朴で懐かしい味わいが改めて評価されています。
極上五家宝 松籟(しょうらい)
伝統的な製法を守りながら、貴重な青大豆や和三盆、オリゴ糖など厳選された高品質な素材を使用して作り上げた「究極の五家寶」。
五家寶一筋で取り組んできた紅葉屋が自信を持ってお届けするこの逸品は、生産量が限られておりますため、誠に恐れ入りますが、熊谷駅ビルAZロード店、八木橋百貨店、ならびに通信販売のみでの販売となります。
こちらの商品は残念ながら通販では見つけることができなかったので、実際に埼玉まで行ったときに上記のショップなどを参考に探してみてください。
五家宝 太巻
五家寶の種に染み渡る上品な糖蜜の甘さ、軽やかな歯ざわり、そして豊かなきな粉の香りが、五家寶愛好家にはたまらない食べごたえを提供します。ついついもう一切れ手を伸ばしてしまう、後を引く美味しさです。
紅葉屋さんの五家宝の太巻きは残念ながら探すことができませんでした。しかし武蔵屋さんの生五家宝 太巻という商品を見つけたので、紹介しておきます。
まとめ
五家宝は、埼玉県を代表する伝統的な和菓子として、多くの人々に愛されています。その魅力は、厳選された素材と職人の手作りによる温もり、そして飽きのこない味わいにあります。
五家宝の選び方や食べ方、購入場所についての情報を参考にしながら、ぜひ一度その美味しさを堪能してみてください。
最後に紅葉屋本店さんの五家宝をご紹介しておきます。やはり本店の味をしっかり確認しないと、五家宝の本当のおいしさなんてわからないんじゃないかなと思いました。なので買ってみて早速食べてみたいなと思います。